
クヴェレ美術館 開館記念展Ⅰ Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁
偕楽園の梅がほころび始める春、水戸の泉町にクヴェレ美術館が誕生します。コレクションの中心は、福田三千男(当財団理事長)が収集した日本近現代の絵画と工芸作品、市内のコレクター故・吉田光男氏より寄贈されたシルクロードにまつわる作品や陶磁器約630点です。このたび開館を記念して、当館を代表するコレクションから、3期にわたり幕開けにふさわしい選りすぐりの名品たちをお披露目します。
第1期となる本展では、近代日本画と東洋陶磁を中心とした作品を展示します。茨城県ゆかりの横山大観や小川芋銭のほか、上村松園、竹内栖鳳など巨匠たちの作品と、インド、地中海、中国、朝鮮半島そして日本と幅広い地域から集められた工芸作品が皆様をお出迎えします。古今東西の美と人々がであい、交差し、新たな歴史がこの場で紡がれていきます。
【見どころ1】 茨城ゆかりの作家たちの作品を公開!
水戸市を代表する日本画家、横山大観をはじめとした茨城県にゆかりのある作家の作品を公開します。菱田春草、下村観山、木村武山は、横山大観と共に岡倉天心に従い、北茨城市にある五浦の地で研鑽(けんさん)を積みました。また、牛久出身の小川芋銭は、茨城県内に伝わる河童や妖怪などの伝承を元に、多くの作品を残しました。
下館(現:筑西市)出身の板谷波山も茨城が誇る近代陶芸家です。光を包み込むような淡い色彩が特徴の「葆光彩磁(ほこうさいじ)」と呼ばれる技法を用い、陶芸家として初の文化勲章を受章しました。水戸市出身の彫金家で、帝室技芸員として活躍した海野勝珉の作品も併せて紹介します。



開館記念にふさわしく、縁起の良い鶴に吉祥文様の松が描かれた、豪華な金屏風の横山大観≪放鶴≫をはじめとする茨城ゆかりの作家たちの華々しい作品の数々をご覧ください。

【見どころ2】 近代日本画を代表する作家たちの競演
クヴェレ美術館の近代日本画のコレクションを彩る選りすぐりの名品をご紹介します。速水御舟、那波多目功一など、大観らが所属した日本美術院の作家の作品や、大観と同時代に活躍した竹内栖鳳をはじめとする京都画壇の作家たち。加えて、美人画の巨匠である上村松園・鏑木清方の眉目麗(びもくうるわ)しい美人画作品を公開します。
速水御舟はその時代ごとに特徴的な様式を持つ画家で、細密画と呼ばれる写実的な表現が特に有名ですが、それらの時期を経たうえで極められた、様々な表現をもとに描かれた最晩年の代表作≪芙蓉風花≫を展示します。 竹内栖鳳もまた、写生に重きを置いていた画家であり、その観察力とそれを表現する確かな実力で描かれた作品は、見るものを引き付ける魅力があります。
上村松園≪長夜≫は、福田三千男がコレクションを本格的に収集するきっかけとなった一作で、描かれている着物や、和綴じ本の装幀に金や銀があしらわれた豪華な作品です。西の松園、東の清方と称されたように、鏑木清方の美人画との競演もお楽しみください。




【見どころ3】 珠玉の東洋陶磁コレクション、初公開!
故・吉田光男氏から寄贈された工芸作品の多くは、その1点1点が味わい深く、琴線に触れた作品を収集した珠玉の個人コレクションです。コレクションの特徴はシルクロードにちなむ東洋美術を中心としている点にあります。そのなかでも開館記念展Ⅰでは、インドからはじまり日本の古陶磁に至る幅広いコレクションの流れをご覧いただきます。また、吉田氏は自身で集めた収集品に関して数編のエッセイを残されています。展示では、それらのエッセイを交えながら、吉田氏の作品に対する思いもご紹介します。
シルクロードといえば、西域出土のものが主でなくてはならない。(中略)…あちこち手を出した結果、インド、地中海、ペルシアガラスなどからはじまって、中国の古いもの、とくに西域に寄ったもの、西域風ソグド人の登場する俑、土器などが多かった。
吉田光男『おとな日和』「コレクション」より
コレクションの特徴1 小さきものへのまなざし
吉田コレクションの特徴のひとつが、小ぶりな愛らしいサイズの作品が多いことにあります。そのため展示室にもそれらの作品を並べるための展示ケースを設けました。
サイズこそ小さいもののいずれも存在感とメリハリのある一流の作品です。今回は磁州窯と青磁や緑釉といった青と緑色の色彩が印象的な作品を中心にご紹介します。



コレクションの特徴2 朝鮮半島の美術
朝鮮といえば白磁や高麗青磁の印象が強いですが、吉田氏は百済や新羅の仏教遺跡にまつわる品々にも着目して収集しています。それもひとえにシルクロードにおける大陸の最東端が朝鮮半島に位置していたからでしょう。精巧な金属製の風鐸(ふうたく)や華やかな装飾の宝相華文(ほうそうげもん)の塼(せん)などは大陸での東西交流の軌跡がしのばれます。点数は多くありませんが、シルクロードという視点から見ると奥深いコレクションとなっています。


コレクションの特徴3 日本の古陶磁
吉田コレクションの古陶磁は瀬戸、渥美、丹波、信楽を中心に優れた作品が多く含まれています。中でも「不忍」の銘をもつ信楽焼の大甕は一説によると戦時中の所蔵者が空襲から避けるために上野・不忍池に隠したという、大切に守り継がれてきた傑作です。
コレクションに含まれる信楽焼や渥美窯といった古陶磁は1970年代ごろから主に花を、それも野の花を活ける器として集めたようです。当時のオイルショックによる殺伐とした世相から逃れるように郊外の野辺で摘んだ花を活けることを楽しみにしながら一つ一つ収集された壺はいずれも土そのものの力強さと幽玄な美しさに満ちています。


開催概要
| 休館日 | 月曜日(ただし2月23日[月]、5月4日[月]は開館)、毎月第2火曜日、2月24日[火]、4月23日[木]~4月27日[月]、5月7日[木] |
| 入館料 | 一般・大学生700円、高校生以下は無料。 |
| 開館時間 | 10:30~17:30(毎週金曜日は夜間開館19:00まで)※いずれも最終入館は閉館30分前まで。 |
| 主催 | 哲文化創造公益財団法人 |
| 後援 | 水戸市、水戸市教育委員会 |
